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 女心と秋の空とはよく言ったもんで、まったく憂鬱だよ。この間とあいつ、言ってること違うんだもんなぁ。
 別に俺と付き合うなんて一言も言ってなかったけどさ、なら「付き合っちゃおうか」なんて冗談で言わないでくれってんだ。少しは期待してたんだから。

 始めて会話を交わしたのは丁度1年前。奇しくも女心よろしく天気予報を裏切った秋晴れの日だった。

「そのリラックマのシャーペン、持ちづらそーだな」
 まぁ可愛いものを持ちたいという気持ちは分からなくもない、いや、ぶっちゃけ男の俺からは分からない。
「は?あんたのその悪趣味な宇宙人のより全然いいし」
 冷ややかな視線を俺のイカしたシャーペンに注ぎ、その女は逆に難癖を付けてきた。見た目に反して随分口の悪い女だ、と言うのが第一印象だった。
 センスがない、まったくない、分かり合えないことは明白。リラックマの中身の大半はオッサンということをこいつは知らない。それに対してどうだ、銀色の軟体動物のフォルムは美しい。分かれ!

 不毛な言い争いがきっかけだった所為か、俺たちの会話はそれからも基本文句の言い合いだった。ただそのやりとりが不思議と不愉快でなかったのは、きっと彼女なりの気遣いがあったからかも知れない。と、勝手に思っている。
 まっすぐな目で俺を見つめながら、時折試すように俺を罵倒しては口元を緩ませる。淡い気持ちはその頃にあったといえば、あったのかもしれない。しかしそれは、俺が彼女に向けている感情ではなくて、実は、彼女が俺に向けているものだったということを、夕暮れの放課後に教えられた。

「あたしたちさ、付き合っちゃおうか」
 冗談とも本気とも取れない表情で、彼女は言った。その時の俺はつい「何言ってんだよ」とはぐらかしてしまった。恥ずかしかったからか、それとも今の関係が崩れるのが怖かったからか。ただそのときの俺がしたことといえば一つ、その時にして思えば後悔の一つ。胸の底から沸きあがったもどかしさをごまかすようにして、「お前のこと結構気になってるやつ、クラスにいるからな」と、つまらない言葉を続けてしまっていた。

 結局だ、あの日の告白はなかった事になり、俺はいつかとは逆に予報外れの泣き始めた秋空を、ただ見上げるしか出来なかった。今しがた「彼と付き合う事にしたから」という味気ないメールが入った。
 ぽつぽつと降る雨に濡れ鼠になる惨めさに「ああ恋自体に浮かれてただけだ」と、自身を納得させるために、言い聞かせていた。

 風もなく、雨はただ冷たい。
 傷心もいいところで、俺はしばらく目を閉じてたたずんでしまっていた。
 置き傘をパクろうかと、邪な心が芽生えつつあったそのとき、
 ふと雨が止んだ。

「あんた、何で濡れてんのよ。バカじゃないの?」
 振り返ると彼女が傘を俺の頭上に掲げて立っていた。
「どうして?お前、あいつと付き合うって」
「ああ、あれ?やめた」
「やめたって」
「いいじゃん、別に」

 本当、どこまでも女心って奴は分からない。彼女の怜悧な眼差しを浴びる羽目になっているのはなぜだろうか。俺はその蔑みを含んだ瞳に、ぞくりと感じさせられ続けるに違いない。



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あとがき
遠野杏子・suによる約1時間の合作
楽しみながら書けましたw
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2012.10.12 Fri l 合作 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

No title
 ライトな語り口で、楽しく読めました。
どちらかというと杏子さんの小説っぽかったような…?(笑)

 合作であるにも関わらず、話がきれいにつながっていて読みやすく、合作とは思えない出来栄えだったかと思います。

 今後も合作の試みがいくつも発足しそうなので読むのを楽しみにしております。
2012.10.15 Mon l 凛子. URL l 編集
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012.10.16 Tue l . l 編集

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