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「真田氏の偉業」


少年が恋をする乙女のようにさめざめと泣くのは
朝が終わったからだった
(ぼくはもうこの一日を体現することはできぬのだ)

少年が熱を持つ壮士のようにからからと笑うのは
陽が地平線へと沈んだからだった
(ぼくはいまや影をもたぬ無二なるものへとなったのだ)

泣いては笑う少年を
中学の職員である真田氏は不思議な子供だと評していたが

少年の素行についての欄を埋めねばならなかった
真田氏は
考えたあげく
こう書いた

万事、出来の良い生徒である

昭和四五年のことである
真田氏は平成二十年に死去する

少年は いつしか
大人となり
少年という言葉を失い
他に理解されぬ理由で
泣くことも笑うことも
少年の体裁が許さずに
嘘をつくのがうまくなった

少年は
確かに

出来の良い生徒になった



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2012.09.26 Wed l 柊りん子 l コメント (3) トラックバック (0) l top

コメント

No title
現実で許容される程度の、何処にでもある嘘のように感じられました。
なので「偉業」という表現に少し、違和感を覚えたというか……。解説が聞きたいなあと思います。
2012.10.01 Mon l あずほ. URL l 編集
No title
音楽的。比較的やわらかく、丁寧で平易。やや形式的か。淡泊かもしれない。もう少し密度が高くても良いのかも。恐らく今回最も細部まで気を配られたのはこの作品。最後の虚無感。個人的にはもっと動きや色どりが欲しいので、冒険してもよいと思う。
2012.10.01 Mon l オーロラ. URL l 編集
No title
結構受け取り方が様々で面白いですね。
あたしは「嘘から出たまこと」では無いけど
結果として先生の嘘は嘘じゃなくなった
って受け取れるなーと。
内容もそうだし、皆さんの感想もまた
興味深い作品だと思います!
2012.10.02 Tue l アン子. URL l 編集

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