上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
「真田氏の偉業」


少年が恋をする乙女のようにさめざめと泣くのは
朝が終わったからだった
(ぼくはもうこの一日を体現することはできぬのだ)

少年が熱を持つ壮士のようにからからと笑うのは
陽が地平線へと沈んだからだった
(ぼくはいまや影をもたぬ無二なるものへとなったのだ)

泣いては笑う少年を
中学の職員である真田氏は不思議な子供だと評していたが

少年の素行についての欄を埋めねばならなかった
真田氏は
考えたあげく
こう書いた

万事、出来の良い生徒である

昭和四五年のことである
真田氏は平成二十年に死去する

少年は いつしか
大人となり
少年という言葉を失い
他に理解されぬ理由で
泣くことも笑うことも
少年の体裁が許さずに
嘘をつくのがうまくなった

少年は
確かに

出来の良い生徒になった



スポンサーサイト
2012.09.26 Wed l 柊りん子 l コメント (3) トラックバック (0) l top
カルピスを薄めてふいに気がついたいなくなった友達のこと

ふたりだけの秘密なんだとそれはもう街行く人を照らすまぶしさ

食べかすを集めて捨てるそういえば小鳥のような目をしていたね

エチュードを最後に弾いて明日からはすべての音が奪われる部屋

囚われのカナリアはやがて死ぬだろう でくのぼうさえ生きていけない

パイの実をさくさく食べる 木星の恒星周期はとうに過ぎてる

あしたには信じられないこともある 貨物列車の底の裏側

まりあちゃんの昔のことを思いつつ曲がり角のない夜道を帰る

逝く人の逝く日ほつほつ語る母の手を曳きあゆむ陽炎の街

六月を水に浸して映しだす夢よ会いたいひとに会いたい
2012.09.14 Fri l 柊りん子 l コメント (1) トラックバック (0) l top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。